2021年 師走/沖縄県立博物館・美術館さま
沖縄県立博物館・美術館さま「ゆる〜い かたつむり展」のフライヤー、サイン、Webバナー一式をデザインさせていただきました。
デザインするにあたって担当学芸員さんから借りた本↓
- 『カタツムリ・ナメクジの愛し方 日本の陸貝図鑑』
- 『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』
どちらも筆者のかたつむり愛が溢れんばかりで面白い2冊でした(笑)。すぐ読めるのでかたつむり入門書には最適です。
私とかたつむりの思い出
小2の頃の話
私はというと、子どもの頃からかたつむりは好きな方(甲虫とか脚がトゲトゲしてるやつは苦手…)。学校帰りにかたつむりを見つけては拾い、見つけては拾って鍵盤ハーモニカのケースの上に小さい順に並べて遊んでました。すごいちっちゃい赤ちゃんかたつむりとかカワイイんだ!これが!
注!)かたつむりを触ったら必ずせっけんで丁寧に手を洗いましょう!
最近の話
雨上がり、街灯があまりない真っ暗な夜道を歩いていた時のこと。
さとうきび畑沿いを通過している時に自分の足元から「キャラキャラ」「キャラキャラ」って音がするのに気がつきました。
なんだろう?っと思って目を凝らして足元を見てみると、そこには大量のかたつむりの子どもが!!
不思議なキャラキャラ音は私がマイマイを踏み潰して大量殺戮した音でした。ごめんなさい…。
なぜ、かたつむりたちがアスファルトの道を集団で横断していたのかはわかりませんが、大雨が降ったあとだったので溺れぬように避難していたのでしょうか?
翡翠色の殻に魅せられた姪の話
姪がまだ幼稚園生くらいのころ、彼女のポケットの中からはきれいな翡翠色のかたつむりの殻がよく出てきました。気づかずに何度か洗濯してしまったことも!
今ならわかる!そう、あれは「アオミオカタニシ」。
かたつむりではなく陸にいるタニシです。これが、また超絶カワイイんだ!
かたつむりとは違って触覚の根本につぶらな黒い瞳が見えます。よくクワズイモの葉っぱとかについているのを見かけます。
死骸の殻は乳白色らしいので、姪っ子はいつも生きているアオミオカタニシを捕獲していたことになります。
そして…。気づかず洗濯してしまったり。ごめんなさい…。
博物館でかたつむりを生き生きと展示できるのか?問題
博物館というところは資料をきれいな状態でできるだけ長く保存する、という使命をもった場所なわけですが、これってかなりムリがあります。
形あるものはいつか壊れてしまうし、生きていたものは腐って朽ち果てていくもの。
それに精一杯抗うようにして生まれたのが様々な保存技術です。
- 哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類→剥製・骨格標本(両生類などはあのヌメッとした感じを出すのが難しいそうです)
- 昆虫→昆虫標本
- 植物→押し花、アクリル樹脂包埋
- 軟体動物→液浸標本
などなど。そう、かたつむりなどの軟体動物は液浸標本をおもに用いますが、浸透圧の関係でどうしても体が縮んでしまう。悲しい哉。シワッシワだし、不気味さ倍増。そこで!
殻は本物、中身はリアルフィギュアという解決方法
この新しい方法を編み出しのが造形作家の河野 甲さん。「ゆる〜い かたつむり展」では河野さんが生み出したかたつむりリアルフィギュア、なんと543体!が展示されています。
「生体を保存」しているわけではないけれども殻は本物だし。剥製みたいな位置づけか?
どれも生き生きと表情豊かで本物と見まごう出来栄えなので、かたつむりの生活を一時停止してそれを眺めているかのような不思議な感覚に襲われます。
かたつむりを細かいところまで観察するにはもってこい。あ!デッサンとかする人には特にいいかも?
見どころはリアルフィギュアだけじゃない
これら543体のリアルかたつむりフィギュアは河野さんご夫妻と賛同者の方々が2019年に立ち上げた私設の博物館「かたつむりミュージアム ラセン館」からやってきました。
かたつむりのリアルフィギュアだけではなく、かたつむりが登場する絵画やかたつむりの工芸品なども合わせて展示されているそうです。
おきみゅーにもいくつか描かれたかたつむりや姿をかたどられた工芸品が展示されています。昔から西洋の人も東洋の人もあのラセンに魅せられてしまったのだな、きっと(笑)。
かたつむり型のデカイかご編み作品とかあって、カワイイんだけどなぜ、かたつむりをカゴで編もうと思ったのか?気になる作品ではありました。展示室に行ったらぜひ見てみてください。ゼッタイ気になるから…。
かたつむりミュージアム ラセン館
- 住所 〒619-1143 京都府木津川市加茂町観音寺垣添6-1
- 入場料 ¥500
- 注意! 入場は中学生以上。(小学生向けには出張展示を行っているそうです。)
- 注意! 現在沖縄出張展示のため、2021年12月5日~2022年2月20日まで臨時休館中。
幸運にも河野夫妻と立ち話することができましたが、とても気さくなご夫婦で。
河野さんはヤンキー座りのままかたつむりを延々と観察していられるのだとか(笑)。奥様の方はヤンキー座りが少々苦手で体勢がキツイから付き合いきれないと笑っておられました。わかる。
かたつむりに取り憑かれてしまった河野さん。沖縄はかたつむりの固有種が豊富なかたつむりパラダイス! 珍しいかたつむりを探しに慌ただしく石垣島に旅立って行かれました。
沖縄での出張展示は「最初で最後」になるとのこと! おきみゅーでは2022年2月15日(火)までの開催です。お見逃しなく!
ゆる〜い かたつむり展 ―ラセンに秘められた沢山の不思議。―
- 会場 沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)3F博物館特別展示室2
- 会期 2021/12/22(火)〜2022/2/15(火)※毎週月曜日は休館
- 時間 9:00-18:00(金・土は20:00まで)※最終入場は閉館の30分前まで
- 入場無料
デザインメモ
今回、ベースカラーはかたつむりの体の色を抽出して使用しました。アクセントカラーは紫陽花とその葉っぱの色を選んでます。やっぱりかたつむりには紫陽花がよく似合う。
あとは、いつもの連想ゲーム。かたつむりといえば? 雨・梅雨・紫陽花・しずく・ラセン…でモチーフを適宜配置しました。